Wednesday, March 26, 2014

【前編】鏑木毅さんによるUTMF&STY対策トークイベント@アートスポーツ・ODBOX本店

 

はじめに

 今週末の六甲縦走キャノンボール大会の装備品調達のために、たまたま改装オープンしたばかりのアートスポーツ・ODBOX本店@御徒町にでも行こうかとググったところ、ちょうど今日(3月25日)、あの鏑木毅さんによるUTMF & STY対策トークイベントが夕方開催されると告知されているじゃないですか!鏑木さんは私がトレランにはまるきっかけとなった(人生を狂わせた?)まさに張本人。米国で初めてトレイルランニングやウルトラランニングという言葉を知り、日本での状況を調べた時に最初に飛び込んできたのがこの鏑木毅さんのお名前でした。ご本人に会うことは米国にいた4年間は夢でしかありませんでしたが、その間、米国のトレイルランニングコミュニティに足を踏み入れ、大会の大小、場所、距離も様々なレースに出る度に、鏑木さんがきっかけではあったのですが、いつの間にかトレイルランニング自体にどっぷりはまっていました。鏑木さんご本人に会える日が来るなんて当時は想像もしていなかったのですが、偶然というかたまたま今日、その日が唐突に来てしまいました。会場には鏑木さんのサポーターと言えばこの方、ゴールドウインの三浦務さんのお姿もあり、DVDが擦り切れるほど何度も何度も繰り返し見たお二人の姿を見れただけで今日はもうお腹いっぱいでした・・・。

 と、ここで終わっては単なるファン日記となってしまいますので(笑)、本日鏑木さんから教えていただいたUTMF & STYの攻略法をこちらでもお伝えいたします!

2014年度のコースについて

 今年のコースは先日発表された通り、2012年に開催された第1回目と同様、時計回りコースに。しかし今回は本栖湖をぐるっと回るため、コース総距離は2012年の156kmから169kmに13キロも伸びることに。マイルにして約5マイルなので今回は100マイルではなく105マイルレースという、距離だけ見てもさらに過酷なレースに。累積標高差も2012年の同コースが8,530mだったのに比べて今回は9,478mと、こちらも948mも増えてしまいました。これは序盤~中盤にかけて相当慎重にレースを構築していかないと後半は生ける屍状態になること必至です。

 それでは鏑木さんによるポイントをご紹介します。以下のUTMFのサイトに公開されているコースマップ、標高図と見比べながらお読みください。



【A1富士吉田~A2二十曲峠】
 序盤にある杓子山から立ノ塚峠の下りは岩場(ガレ場)が多く走れません。岩場ではしっかり三点支持で転ばないようにしましょう。

【A3山中湖きらら~A4すばしり】
 普段ここだけトレランするのであれば最高のコースですが、ほとんどの市民ランナーは夜中に走ることになりますので風景を楽しんでいただけないのが残念です。また、この区間は16.4kmというエイド間の距離がかなり長いので補給などに気をつけてください。

【A5富士山御殿場口太郎坊~A6水ヶ塚公園】
 この区間が今回のコースではもっとも寒いポイントになります。特に水ヶ塚公園あたりはトップランナー以外の市民ランナーでは真夜中~明け方に走ることになり、かなり冷えますので防寒対策をしっかり取ることが重要です。太郎坊~水ヶ塚間は富士スカイラインを走ることになります。ここはトレイルではなく、舗装道です。

【A7富士山こどもの国】
 ここがUTMFの中間点です(厳密にいうと半分ではないですが)。ここはドロップバックを受け取れるエイドですのでしっかり補給、休息してください。というのも、この後、A8の西富士中学校までは24km続くエイドなしでは最も長い区間になります。富士山こどもの国でどれだけしっかり準備できるかが重要です。

【W1~A8西富士中学校】
 標高図を見るとフラットに見えますが、実際はこの区間は細かいアップダウンが続きます。西富士中学校の後にはあの天子山地が待っていますので、絶対に、こどもの国~西富士中学校までは調子が良かったとしても飛ばしすぎないことが重要です。

【A8西富士中学校】
 ここが100km地点(104.4km)。ほとんどのランナーにとって100kmを超えて走ることは未知の領域だと思います。ここからが本当のレースです。新たなスタート地点だと思ってください。レース攻略のカギとしては、いかに西富士までの100kmを余裕をもって走れるかです。西富士の後の天子山地は一気に1000m以上登ります。100kmを超えてのこの山登りはかなり厳しいです。西富士ではしっかり休息し、仮眠も取るほうがいいでしょう。西富士中学校での過ごし方がこの後の60kmがどうなるかの要となります。

【A9麓~A10本栖湖】
 端足峠~竜ヶ岳の登りもかなりキツいです。ただし、竜ヶ岳から見える富士山の風景は格別ですので見れる方は楽しみしておいてください。竜ヶ岳から本栖湖にいたる急で長い下り坂も要注意です。このくらいになってくると登りよりも下りのほうが足にきます。

【A10本栖湖】
 ここのエイドも仮眠が取れますので西富士かこの本栖湖でしっかり仮眠を取りましょう。ここを過ぎれば残り30kmです!

【A10本栖湖~A11鳴沢】
 中ノ倉山~パノラマ台も細かいアップダウンが続く難所です。ただここの森は美しいので風景を楽しんでください。

【A11鳴沢~Finish河口湖八木崎公園】
ここまで来ればゴールまで後少し。紅葉台、足和田山がありますが、そこを乗り越えて笑顔でゴールできるように頑張りましょう!

 制限時間は46時間あります。UTMFウェブで公開されている関門時間、遅い選手の時間から自分のレース展開を予測しておくことが重要です。なお、ウェブにある遅い選手の時間だと、A5太郎坊、A6水ヶ塚、A7こどもの国のタイムが関門時間よりも遅くなっていますが、これは2012年の第1回大会の時の、最後に走った選手のタイムをもとに計算されています。つまり、今年2014年のレースでは2012年に最も遅かった選手のタイムで走ってしまうと関門にひっかかってしまうということです。それだけ今年のレースの難易度が上がったということですのでご注意ください。


 以上、2014年UTMF &STY コースの鏑木さんによるポイント解説紹介でした。私も今までまともにコースマップや標高図、エイドごとのポイントなど見たこともなかったので(←単なる準備不足)、目から鱗の役立つ情報だらけで非常にためになりました。鏑木さん、ご丁寧に本当にありがとうございました。

次回予告

次回のブログではこの日のトークイベントの後半に行われた「UTMF攻略のポイント」をご紹介いたします。内容は以下の通りです。
  1. トレーニング&準備編
  2. レースマネジメント編
  3. メンタルマネジメント編
  4. Q&A

こちらもレースに向けてかなりためになりましたので乞うご期待!

あとがき

 今回のトークイベントでは、レース解説の前に、2014年度のコース発表が遅れたことについて、本当にご迷惑をおかけしましたと鏑木さんから謝罪の言葉がありました。原因としては鏑木さんは直接はおっしゃってなかったのですが、地元の皆さん、市町村との調整を慎重に進めた結果だと思います。地元との調整は鏑木さんや事務局の関係者の皆さんにとって、私たち参加者が想像する以上に大変なことだったと思います。しかもその交渉は一回限りではなく、毎年根気強く続けなければなりませんので相当の時間と覚悟が必要です。
 ここで重要なのは、北米やヨーロッパと違い、トレイルランニングというスポーツ自体が日本ではまだまだ新しいスポーツであり、競技人口も非常に少ないということです。マイナースポーツであるため、トレイルランニング自体に対して多くの誤解があります。その誤解をひとつずつ解いていき、この新しいスポーツを日本に根付かせるためには数十年くらいのスパンがかかるかもしれません。でもそういった努力をしていかないと、このトレイルランニングというスポーツ自体が禁止されるという大変なことになってしまう可能性もゼロではありません。
 地元の市町村、住民の皆さんのトレランに対する理解を深めるためには、トレイルランナー個々人のマナー向上が非常に重要になってきます。ごみをトレイルに残さない、トレイルを傷めないように注意するなどは最低限のマナーとしていつも気をつけるべきですね。それに加えて、山を楽しんでいる登山者、トレイルをハイキングしている方への挨拶、横を通り抜ける際の声掛け、時には止まって道を譲るなど、欧米では当たり前となっていることを私たち一人一人がトレイルを走る度に行うことで、同じ山を、トレイルを愛する人たちの理解も少しずつ深まっていくのではと思います。なんて、偉そうに書いていますが、これはそのまま私自身に対しての言葉でもあります。トレランを愛する者同士、引き続き協力して周りの人たち(まずは家族からか・・・)に理解してもらえるように頑張っていきましょう!

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